2023.1月号vol.101

年末のご挨拶

2022年も終わりを迎えようとし、今年最後の「さくら通信」となりました。

2014年9月から毎月発刊で始めた「さくら通信」は、先月で100号に到達することができました。

今年は、新型コロナウイルスのほかにも、暗いニュースが多かった1年だったと思いますが、皆様にとってどのような年だったでしょうか?

今年の川沿歯科医院は、定期的な全体ミーティングの開催のほかに、日本トップクラスの歯科衛生士として活躍されている先生を講師に迎え、3日間に渡る研修を実施することができました。

また、札幌で開業されている歯科医院を見学する機会もあり、それぞれが大きく成長できた1年になったと実感しています。

新型コロナウイルスの影響により、休診させていただくこともありましたので、来年は健康管理にもより気を配っていくと共に、

より良い歯科医療をお届けできるように更に研鑽を重ねていきたいと思います。

2023.1月号vol.101

お口ポカン

近年は、鼻ではなく、口で呼吸するお子様が増えている傾向があります。

口で呼吸することが多くなると、空気中の菌が体内に入りやすくなるほか、口の中が乾燥することでむし歯になりやすくなってしまったり、無呼吸症候群や睡眠障害を引き起こすこともあります。

また、口がいつも開いている子どもは、唇の筋肉が発達不良になることで、唇が閉じにくくなることや、姿勢に問題が出ることがあります。

その他にも、よく噛まずに食べることで、口元の筋力の低下や顎の成長への影響、消化不良の原因にも繋がる場合があります。

このように、顎の発育不良が原因となって起きる症状は、『不正咬合(ふせいこうごう)』が大きな要因になっている場合があります。

顎やお口の機能の発育を支えるためにも、日頃の生活習慣や食習慣が大切です。

2023.1月号vol.101

現代の食習慣

上の画像は、アニメ「サザエさん」の食事シーンですが、現代の食事とは少し違っています。

サザエさんの食事シーンでは「お水」が食卓に置かれていません。

現代の食事では、外食の接客サービスなどの影響により、食卓にお水はセットになりましたが、サザエさんの放送が開始した昭和44年には、まだ食事とお水をセットにする風習はなかったようです。

現代の食事では、水で食べのもの流し込む食べ方が多くなっているほか、柔らかい食材や料理も一般的になったことで、噛む回数を減らしてしまう傾向があります。

現代の食習慣は、だ液の分泌の低下だけではなく、顎(あご)の発育にも影響により歯並びが悪くなることもあります。

だ液には、消化機能の促進・自浄作用力・抗菌作用・歯の再石灰化促進などの効果があります。

食事中は、食べ物を噛むことでだ液が分泌されるため、「流し込む」ではなく、「しっかり噛んで飲み込む」食習慣にすることで、お口の正しい発育と健康に繋げることが出来ます。

2022.12月号vol.100

お口の健康を守るためのメンテナンス

皆さんは、「お口のメンテナンス」という言葉を聞いたことはありますか?

メンテナンスを日本語にすると「維持」「持続」「保全」などの意味になり、歯科では、治療ではなく予防という観点からメンテナンスという言葉を使用することがあります。

悪くなったら治す「治療」ではなく、悪くならないための「予防」がお口の健康を守るためには最も大切なことです。

お口のメンテナンスの取り組みには、セルフケアとプロケアの2つがあります。

セルフケアは、ご自宅でする歯磨きなどで、お口の健康を守るための基本となります。

プロケアは、歯科医院で行うもので、メンテナンスの専門的な知識と技術を持つ歯科衛生が、専用の器材を使ってセルフケアでは取り除くことができないお口の細菌や汚れを除去します。

むし歯や歯周病の原因となるのは、全て細菌です。

この細菌を増やさないためのメンテナンスが、お口の健康を持続することに繋がります。

お口の問題と言えば、むし歯や歯周病を思い浮かべる方も多いと思います。

しかし、お口の問題には、噛み合わせが悪い、入れ歯が合わない、親知らずが痛いなど、様々なものがあります。

そして、これらの問題の多くは突発的に起こるのではなく、必ず前兆があり、その前兆に気づくことができず、大きな問題になったときに初めて自覚症状として現れます。

もし、定期的にお口のメンテナンスを受診していれば、問題の原因となる小さな変化に気づくことができ、最小限の処置で問題を未然に解決することができるケースも多くあります。

前号(11月号vol.99)でもお伝えした歯の破折は、治療ができず抜歯になってしまいますが、定期的にメンテナンスを受診されていれば、早い段階で噛み合わせに問題があることに気づき、破折を防ぐことができるケースもあります。

日本では、まだ定期メンテナンスは一般的ではありませんが、生涯できるだけ多くの自分自身の歯で生活するためにも大切なお口のメンテナンスです。

2022.12月号vol.100

さくら通信100号達成!

さくら通信は、今月で第100号を迎えることができました。

2014年9月号からスタートし、一人ひとりの患者様へお渡ししてきました。

さくら通信をスタートさせるときには、毎月作成することや、お渡しの際に受け取りを断られることなどへの不安もありました。

さくら通信を読まれた患者様から「口腔健康への意識が変わった」「定期検診の大切さを知った」などの声を頂けたことで、発刊を続けることが出来ました。

現代では、ネットで検索すれば歯科治療についての情報は溢れていますが、全てが正しい情報とは限りません。

これからも、さくら通信を継続し、歯科治療や口腔の健康を守ために大切な情報を届けていきたいと思います。

今後も、さくら通信をどうぞ宜しくお願い致します。

2022.11月号vol.99

治療ができず抜歯になる歯根破折

歯が割れてしまったり、欠けてしまったという経験をされたことはありますか?

硬いものを噛んだり、何かにぶつかった衝撃などで、歯が割れる・折れる・欠けることを歯冠破折(しかんはせつ)と言います。

歯冠破折とは別に「歯根破折(しこんはせつ)」というケースもあり、これら破折は、3番目に多い歯を失う原因でもあります。

歯根破折は、歯の根にヒビが入ってしまったり、割れてしまった状態になっており、多くの場合は、抜歯(歯を抜く)治療になってしまいます。

通常、歯の根は歯ぐきに覆われており、肉眼で歯根破折を見つけることは難しいため「歯が痛む」など、むし歯と思って受診して「歯根破折」と診断されることが多くあります。

歯冠破折と違い、治療が難しく、歯を抜くことになる歯根破折から歯を守っていくことが重要です。

では、どのような歯が歯根破折リスクが高いのでしょう。

歯根破折のリスクが最も高い歯は、神経を失っている歯です。

ご存知のように、神経には痛みや温度を伝える役割がありますが、歯の神経の中には血管も通っており、その血管を流れる血液が歯に大切な栄養を届けるという重要な役割があります。

歯の神経を失うと、神経だけでなく血管も同時に失うことになり、その結果、歯には栄養が届かず、その歯は脆く弱くなってしまいます。

弱くなってしまった歯は、日常生活の「噛む」「くいしばる」などの負担に耐えることができないため、歯が破折してしまうリスクが上がってしまいます。

また、歯ぎしり・くいしばりのほか、咬み合わせに問題がある場合も歯根破折のリスクは上がってしまうため、就寝時のマウスピースの活用が効果的な場合もあります。

歯根破折から歯を守るためにも、歯を守ための歯磨きと定期検診によって、歯とお口の環境を正しく維持していくことが大切です。

2022.11月号vol.99

院内ミーティング

9月22日(金)は、通例の院内ミーティングを行いました。

今回のミーティングでは、初めて来院された患者様が診療前にご記入する問診票についての検討をしました。

皆さんは、問診票を記入するときに何となく回答していくことはないでしょうか?

問診票は、あなたのお口の状態についての情報を得るためにも大切な資料となります。

また、お身体の状態によっては、治療法やお薬などを替える場合もあります。

ミーティングでは、問診票の内容を見直し、安全で安心できる診療に繋げるための話し合いを行いました。

2022.10月号vol.98

むし歯治療は銀歯?それともセラミック?

多くの方が、これまで一度はむし歯治療の経験があると思います。

過去のむし歯治療では、どのような治療を受けたでしょうか?

むし歯治療を受けた歯には、プラスチック素材の詰め物や、銀歯やセラミックの被せ物がついています。

プラスチック素材の被せ物は、小さなむし歯治療で使う素材で、白く目立ちにくいのが特徴ですが、材料が安定せず大きなむし歯治療では推奨されません。

大きなむし歯治療の場合は、保険適用の銀歯か保険適用外のセラミック素材での被せ物になります。

銀歯そのものは壊れにくく高い強度がありますが、その高い強度のせいで噛み合わせの力がそのまま歯の根まで伝わることで、歯が割れてしまう場合があります。

セラミック素材は、本来の歯と同程度の強度と、自然な歯を再現できる美しさがあります。

では、銀歯とセラミックでは、治療後の歯にどのような影響があるのでしょう?

右ページで詳しくお伝えしますので、今後の治療法の選択に参考にしていただければと思います。

2022.10月号vol.98

再発リスクを抑えるむし歯治療

銀歯のむし歯治療を受けた場合、その耐用年数は平均5~7年という調査結果がありますが、これは耐用年数を過ぎると銀歯が割れるなど壊れてしまう訳ではありません。

歯と全く異なる素材の銀歯(金属)を装着するため、治療後5~7年以内には歯と銀歯に隙間が生じ、その隙間から細菌が侵入することで、再治療が必要になることが耐用年数とされています。

セラミック素材は、最も歯に近い素材であり、特殊な接着システムも可能になることから、耐用年数は15~18年というデータがあります。

むし歯治療は、むし歯菌によって歯の腐ってしまった部分を削り取るため、治療のたびに歯は小さくなってしまいます。

また、5年ほど経過した銀歯を外すとほとんどの場合、銀歯の下は大きなむし歯になっており、再治療をしても最初の治療のときよりも早くむし歯が再発するため、歯の寿命が短くなる可能性があります。

全てのケースでセラミックが最善とは限りませんが、むし歯を繰り返さないための治療法を選択することが大切です。

2022.10月号vol.98

歯科健診の義務化!?

今年の5月末から6月上旬にかけて、一部メディアによる「全国民に毎年の歯科健診を義務づける」という言葉が報道され、賛否両論の反応があったと聞きます。

6月7日に閣議決定された『経済財政運営と改革の基本方針2022』の第4章の中で、「生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)の具体的な検討」という一文が「歯科健診を義務化」となって報道されましたが、実際は「義務化」は明記されていません。

今のところは、企業などの定期健康診断に歯科健診を加えるなど、全国民が年1回の歯科健診を受けたり、受けやすくするための整備をしていくという段階のようです。

むし歯や歯周病などで、歯を失うと咀嚼(噛む)機能や嚥下(飲み込む)機能が低下し、偏った食生活から健康を損なうリスクが上がってしまいます。

また、歯周病は、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病、誤嚥性肺炎などの大きな疾患の要因にもなります。

「歯科健診の義務化」にはならなくても、一人ひとりの国民が口腔健康への意識を持つことで生涯の健康維持につながることを期待しています。